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主任は午後から、さっきの見積書を持って営業先に出かける予定になっている。
作って、課長のハンコをもらって、用意をしていたらお昼を食べる時間なんてないんじゃ…。
そう思うともう勝手に体が動いていた。
「主任!」
プリンタの前にいた主任は、ギョッとしたように私を見た。
「これ!お昼です!」
さすがに私の手作り満載弁当を渡すわけにもいかず、彼の前につき出したのは自販機で買ってきたドリンク。
「……俺にこれを飲めと?」
「は、腹が減っては戦はできませんから」
主任はまじまじとドリンクと私を見比べていたけれど、すぐにでっかい声で怒鳴った。
「これから営業に行くのに、”精力増強まむしドリンク”を飲ませてどうするんだ!?ああ?
俺にこんな真昼間から夜の営業でもさせる気か!」
だって、栄養ドリンク的なものはこれしかなかったんですよぅ。
「せめて缶コーヒーにしろ。
ったく、女が男にこんなもの渡したら、誤解されるぞ」
少しトーンダウンして言うと、彼は私の手からドリンクを取った。
「へ?飲むんですか?」
「すきっ腹よりはマシだろうが」
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