鬼は外(勤)、福は内(勤)

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まずは3カ月お試しで様子を見て、問題がなければ1年ごとの更新と言われている。 ここに派遣されてはや1カ月。 ようやく慣れてきた私は、なぜ大したスキルもない自分が選ばれたのか、段々とわかってきた。 そこそこパソコンが使えることももちろんだったけれど、何よりの決め手は、私が「ザ・地味」なことだったと思う。 カラーリングのかけらもない黒髪をもっさりと後ろで一つ結び。 もちろん、度の強いメガネは必須。 常に黒紺グレーの3色を使いまわす制服のようなファッション(これをそう呼んでもいいのなら)。 自分でも地味だとは思うけど、この地味さが心地良いんだ。 派手なのは、もう疲れたから。 この営業所はそれほど大きくはなく、所長と営業マンで総勢6人。 そこに、私が女性一人。 状況だけ見れば逆ハー状態なわけだ。 私の前にも、同じように女性の派遣社員が事務を担当していたんだけど、とにかく男性に媚びを売るのに熱心で、仕事に支障をきたすほどだったらしい。 それで、トップの営業マンがキレてしまい、地味で男性に関心のない人か、既婚者の女性にしろ、と所長に詰め寄ったそうだ。 なら、事務担当を男性にすればいいと思ったけど、それはあまりにむさくるしすぎると、他の営業マンから苦情が来たらしい。 バランス、というものは難しい。
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