女に縋りつかれている男は、これまたお似合いのチャラい見た目。
好きなだけいちゃついて、そして別れちまえばいいんだ。
ただし、俺の視界に入らないところでやってくれ。
男は女の首筋に指を這わせ、女はくすぐったそうに身をよじっている。
公共の場で迷惑な。
眉間にしわが寄るのを感じながら、他の席に移ろうとテキストを閉じて立ち上がった時だった。
一瞬だけ、女と目が合った。
ん?
よく見ると派手なメイクがなじんでいない幼い顔立ちの女は、媚びるような態度とは裏腹に、何か必死な色を目に浮かべていた。
何だ?
変な女だな。
興味をひかれたのはわずかな間。
俺はすぐに目をそらしたし、彼女も何も行動は起こさなかった。
それだけのことで終わると思っていた。
が、翌週もそのバカップルは同じところに来た。
先に来ていた俺は、奴らが視界に入らないようにと、他の席に移って背中を向けた。
が、耳には入ってきてしまううざい会話。
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