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悔しい!悔しい!悔しい!
真奈は夜の住宅街を走っていた。夜といってもまだ8時前だったが、駅前や大通りに面した道路よりは人が少ない。夜のジョギングやウォーキング、犬の散歩している人が通り過ぎ、会社帰りの男女学校帰りの学生とすれ違う。
家から走って5分ほどだろうか。自然の地形を利用した広い公園があった。なだらかな斜面を緑の芝生で埋めて、上から下へ降りるために階段がつくってある。階段とゆるやかなスロープをつくり、車いすや足の弱い人が歩きやすいよう道を整えていた。下にはやっぱり緑の芝生で埋めた広場があり、日中であれば犬とフリスビーをして遊ぶ人もちらほら見かける。
真奈が走った先に来たのは階段を降りる前にある広場だ。ここは石やタイルが張られている。トイレと自販機にベンチまであるので、ここで休憩して一休みする人も多かった。
上から見る眺めは絶景とまではいかないが、緑の芝生の奥には住宅街、そのもっと先には昔から残る森林と田畑が広がっていた。真奈の目からは見えないが、おそらく田園風景が広がっている。
真奈は流れ落ちる涙をぐいっと乱暴に拭うと、ベンチに座って頭を冷やそうと考えた。石ころひとつ落ちていない広場は誰かがいつも清掃してくれているのだ。苛立ちをぶつける石ころもなく、真奈は空いているベンチに腰をおろした。
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