旦那と彼女

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え?嘘だ… 私、涙を流してるの? 旦那のことで? 何で…? 愛想つかしてる旦那のために流す涙なんて、もう残ってないはずなのになぜ? でも…なぜだか…涙が止まらなかった。 7年前、あの人が私に笑いかけてくれた顔。 急に、懐かしく思い出した。 『この時計お似合いですよ。あなたにぴったりだ』 そう優しく言ってくれたから、私、その時計買ったんだよ… 今でも捨てずにずっと持ってる。 あなたを全力で好きだった自分を… 思い出してしまったんだ。 でも、これで本当に終わりだね。 あなたは、もう… 私を愛してはいない。 『智華ちゃん…あなたが旦那を好きなこと充分わかった。だけどね、あの人を自分だけに繋ぎ止めておくことはとても難しいことだよ。それでも一緒にいたいなら、私は止めない』 『結菜さん…健太さんと離婚するんですか?』 文都君が聞く。 『…そうだね。あの人もそれを望んでると思うから』
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