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壮真は苦しそうだ。
「代わりに答えてやるよ。」
亜生君が、壮真に迫った。
「真央美さんは、俺達の幼馴染み。同じ施設で育った、言わば兄妹みたいな関係。施設を出た後も、俺ら兄弟の事を気にかけてくれた。」
「えっ……」
そんな特別な人なの?真央美さんって。
「真央美さんは、兄貴の事が好きだった。いつか、兄貴と結婚したいって言っていた。でも、兄貴が真央美さんを裏切ったんだよな。」
「裏切っていない。俺じゃあ、真央美は幸せにできない。結菜がいるからな。」
そう言われても、私は複雑な気持ちだ。
「でも真央美さんは、俺の気持ちを解ってくれる。解って、俺と一緒にいてくれるんだ。二人して、邪魔するなよ!」
そう言うと亜生君は、そのまま自分の部屋に、入っていってしまった。
「そう言う事なの。だから、相手が真央美さんだって聞いて、許せなかったのね。」
すると壮真は、リビングに行って、スマホを持った。
「誰に電話するの?」
「真央美に決まっているだろ。」
私はそれを止めた。
「お願い、それは止めて。」
「結菜……」
「今は、そっとしてあげて。」
ー 真央美さんは、俺の気持ちを解ってくれる -
そう亜生君に言わせた真央美さんに、私は嫉妬しているのだ。
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