121人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、翌朝になっても、亜生君は帰って来なかった。
「結菜。」
廊下に丸まって寝ているのを、壮真に発見され、起こされた。
「亜生の事、ここで待ってたのか。」
私はうんと頷いた。
「亜生は、真央美の家にいるよ。」
「電話したの?」
私は立ち上がった。
「いや、電話はしていないけれど、きっとそうだよ。」
壮真はキッチンに行くと、要領よくコーヒーを入れた。
「はい。これ飲んで、目覚まして。」
「ありがとう。」
壮真が淹れてくれたコーヒーは、ブラックなのに甘かった。
きっと、壮真の優しさが入っているからに、違いない。
「亜生は何かあると、真央美のところに行くから、今回もきっとそうだって。結菜が心配しているから、今日は帰って来いって、後で電話する。」
「うん。」
一晩中、亜生君の事ばかり、考えていた。
最初のコメントを投稿しよう!