第4話 戻ってきて

7/15
前へ
/78ページ
次へ
「結菜。」 壮真に呼ばれてハッとした。 「仕事だろ。ボーッとしてないで、用意しないと。」 「……うん。そうだね。」 作り笑いをして、私は仕事着に着替えた。 会社でも、亜生君を忘れる事はなかった。 とりあえず、真央美さんのところにいると言うから、食事なんかの心配はないと思う。 でも、何かが引っ掛る。 真央美さんは、兄弟二人にとって、特別な人かもしれない。 特に亜生君にとっては、身体の関係も持っている人。 壮真と同じ年代で、高校生に手を出すなんて、一体何を考えているんだろう。 「はぁー……」 ため息しか出て来ない。 「何?小森さん、マリッジブルー?」 同僚の一人が、声を掛けてくれた。 「そう言う訳じゃ……」 「もう一緒に暮らしてるんでしょ。羨ましい。」 周りから見たら、私は今が一番幸せな時かもしれない。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

121人が本棚に入れています
本棚に追加