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「結菜。」
壮真に呼ばれてハッとした。
「仕事だろ。ボーッとしてないで、用意しないと。」
「……うん。そうだね。」
作り笑いをして、私は仕事着に着替えた。
会社でも、亜生君を忘れる事はなかった。
とりあえず、真央美さんのところにいると言うから、食事なんかの心配はないと思う。
でも、何かが引っ掛る。
真央美さんは、兄弟二人にとって、特別な人かもしれない。
特に亜生君にとっては、身体の関係も持っている人。
壮真と同じ年代で、高校生に手を出すなんて、一体何を考えているんだろう。
「はぁー……」
ため息しか出て来ない。
「何?小森さん、マリッジブルー?」
同僚の一人が、声を掛けてくれた。
「そう言う訳じゃ……」
「もう一緒に暮らしてるんでしょ。羨ましい。」
周りから見たら、私は今が一番幸せな時かもしれない。
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