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「あのね……家出、した事ある?」
「あるある。私、結構家出率半端じゃなかったから。」
私は同僚の顔を見た。
「家出している時に、どこにいるの?」
「ん?友達の家。友達のお母さんも、事情知ってたし。」
「……どうして、家出してたの?」
「そうだな。一番は、家族とそりが合わなかったからかな。」
家族と……
壮真と私を睨んでいた亜生君。
もう一緒に暮らしたくないって、思っていたんだろうか。
「もしかして、旦那さん……」
「ううん、違うの。実は、旦那の弟も一緒に暮らしていて。」
「ああ、弟さんの方が、帰って来ないの?」
「うん。」
同僚は、周りをキョロキョロ見ると、小さい声で答えた。
「却ってよかったんじゃない?新婚にコブはいらないよ。」
「でも、その子……行く場所が無くて……あっ、いや、あるんだけど、女の人のところなのよ。」
「それでも、居る場所があるだけマシよ。家出しても行く場所がなくて、知らない人の家を転々とする人もいるんだから。」
「そうね。」
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