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それを無視した私は、亜生君を好きなんだろうか。
いや、違う。
家族になりたいから。
亜生君とも家族になりたいから。
今、走っているんだ。
駅前に来て、私は亜生君を探した。
きっとこの前みたいに、真央美さんと一緒に歩いている気がした。
「亜生君……」
探して探して、私は必死になっていた。
その時だった。
亜生君のような髪型をした男の子が、女性の人と一緒にいた。
「亜生君?」
その人の腕を引いたけれど、顔は別な人で、私はその人に謝った。
そしてまた、キョロキョロと亜生君らしき人を、探し回った。
探しては謝り、探しては謝った。
とにかく、亜生君を連れて帰らないと。
その一心で、亜生君を探した。
「亜生君!」
顔を覗き込んだ人は、ちょっと細めの目をしていた。
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