第5話 好きか

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「他には?」 「ああ、じゃあ鍋に水を入れてくれる?」 「OK。」 言うと、これまた手慣れた手つきでやってくれるから、もしかしてこの家の主婦は、私ではなく亜生君なのか?と錯覚してしまう。 「何作るの?」 「ああ、えっと……野菜炒め。」 ただ有り余った野菜を、切って炒めるだけ。 もしかして、手抜きだと思われている? 「野菜炒めいいよな。俺、好きだよ。」 野菜を切る手が止まる。 「どうした?」 「いや、なんか亜生君、最近優しいなって思って。」 「さっきも言ってたな。」 「余計に思ったんだよ。」 なぜ急にそうなったのかは、分からない。 「この水を入れた鍋は?」 「お味噌汁作ろうと思って。」 「じゃあ、俺味噌汁作るよ。」 そう言うと、冷蔵庫を開ける亜生君。 「具材だったら、出してある野菜から……」
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