123人が本棚に入れています
本棚に追加
一体、何を聞きたかったんだろう。
家族として好きなんだと言う事は、もうとっくに聞いているのに。
着替えてキッチンに向かうと、既に亜生君が、キャベツの葉を向いていた。
「器用だね。」
そう言うと亜生君は、「全然。」と言っただけで、こっちを見てくれない。
「お湯は?沸かした?」
「あれね。」
既にお湯もスタンバイ。
「じゃあ私は、種を作ればいいか。」
「うん。任せる。」
私達はいつの間にやら、一緒にキッチンに立ち、料理をするのが当たり前になっていた。
右側に立つ亜生君を意識しているせいか、右側に神経が集中しているような気がする。
「なあ、おい。」
「えっ!」
私は亜生君の方を見る。
「いつまで肉、こねてるんだよ。」
「あっ……」
ボーっとしている内に、お肉はミンチ状になっている。
「次は、味付けね。」
塩、胡椒を振って、また肉を混ぜる。
私、いつの間にこんなに捏ねていたんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!