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その日の夜、繁は大樹の店の前にいた。 店に明かりは点いておらず、周りの店も閉まっていた。 繁は手に持ったガソリンをゆっくりと置いた。 笠「ヒヒッ」 繁は警察が家を見張っているのに気付いていた。 繁は警察がいない家の勝手口から外に出た。 母親にバレないように家から抜け出すのは大変だった。 繁の額には汗が滲んでいた。 笠「須藤のやつ、自分だけ良い思いしやがって。絶対に許さない」 繁はポケットからマッチを取り出した。 笠「ヒヒッ。全部燃やしてやる」 カツッ、カツッ……。 笠井は後ろから聞こえる音に振り向いた。 そこには『赤マント』が立っていた。 笠「ヒッ!?」 笠井は手に持っていたマッチを落とし尻餅をついた。 体から大量の汗が吹き出し、恐怖で震えていた。 カツッ。 『赤マント』はゆっくりと繁に近付く。 カツッ。 静かな夜に靴音が響く。 それがより繁には恐怖だった。 繁「ヒ、ヒィィィィ!!」 繁は走った。 赤「……」 『赤マント』はそんな繁の後ろ姿を見つめていた。
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