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笠「ハァ……ハァ……」
繁は家に向かって懸命に走った。
汗で体はびちょびちょだったが、今はそんなことを気にする余裕はなかった。
『とにかく早く家に入らなければ』
繁の頭の中にはそれしかなかった。
笠「ハァ……ハッ!?」
繁の50m先。
そこに『赤マント 』が立っていた。
笠「な、何で……」
カツッ……カツッ……。
『赤マント』はゆっくりと繁に近付く。
笠「ぬぅぅ!!」
繁は来た道を戻るように走り出した。
繁は自分の足ではいくら走ったところで直ぐに追い付かれると分かっていた。
笠「ハァ……ハァ……」
繁は何度も何度も角を曲がった。
自分でもどこに向かっているかも分からないほどだった。
笠「ハァ!! ……ハァ!! ……」
呼吸が荒くなる。
今すぐ止まってしまいたい。
しかし、止まってしまったら殺されてしまう。
その恐怖が繁を動かしていた。
笠「ハァ……ハァ……」
繁はごみ捨て場で足に限界を向かえた。
後ろを振り返る。
そこには誰もいなかった。
笠「ハァ……ハァ……。逃げ切れた……」
繁は大きく息をはいた。
カツッ……カツッ……。
笠「ッ!?」
繁は恐る恐る顔を上げた。
目の前には『赤マント』が立っていた。
笠「ヒィィ!?」
繁は驚いてごみ袋の山にお尻から突っ込んだ。
赤「……」
『赤マント』は懐からガソリンを取り出した。
笠「!?」
『赤マント』は蓋を開けると、中身を繁にぶちまけた。
笠「うわっ!? ブッ!?」
オイルの匂いが繁の鼻に付いた。
赤「……」
次に『赤マント』はマッチを取り出した。
チッ。
『赤マント』はマッチを刷った。
赤い炎がマッチの先を燃やしている。
赤「……」
『赤マント』はそれを繁に投げた。
ボウッ。
笠「ギィヤァァァァァァァ!!」
炎が一瞬で繁を包む。
繁は暴れて炎を消そうとする。
しかし、後ろのゴミ箱も燃え、火の勢いはさらに強くなった。
笠「……」
1分もせずに繁は動かなくなった。
赤「……」
『赤マント』はマントを翻しその場を去っていった。
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