京都

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翌日。 翼はバスに揺られていた。 隣には葵衣、後ろには茜と拓実がいた。 離れた場所に大樹が座っていた。 翼は外を見ながら物思いに耽っていた。 翼たちは京都に来ていた。 あの日優太が居なくなったあの日に来ていた場所、俊介たちが修学旅行に来ていた場所。 修学旅行に参加できなかった翼にとって、今回京都に来るのは初めてだった。 しかし、翼たちの目的は観光ではない。 優太が亡くなったあの湖に行くためである。 あそこにいるであろう『赤マント』を止める。 それが翼たちの目的である。 翼「(説得、か……。本当に上手くいくだろうか)」 自分で提案をしておいてあれだが、翼は不安だった。 玲穏の兄、隼人の場合はそれほど危険はなかった。 隼人の目的は玲穏を守り見守ること。 殺意があったわけではなかった。 玲穏の気持ちが変わったことで隼人は安心して成仏した。 しかし、今回は違う。 優太には明らかな殺意がある。 俺たち同級生に対する殺意が。 そして、彼はまだ目的を達成していない。 そんな彼が拓実の説得に応じてくれるだろうか? 翼「(もし説得できなかった時は、戦うしかないのか。この4人で)」 翼はそうならないことを願うばかりだった。 バスに揺られること30分。 翼たちは目的の場所に到着した。 バス停から湖までは少し歩かなければならない。 空には少し雲がかかっていた。 翼「……行こう」 翼たちは湖に向かって歩きだした。
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