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その頃、小久貫邸にはマスコミが押し寄せていた。
同級生でいじめっ子仲間だった繁が亡くなったことで、一真に注目が集まったのだ。
「この一連の事件の犯人は小久貫一真ではないか」
そんな噂が立っていた。
宗「おい、あのマスコミどもを何とかしろ!!」
秘「は、はい!! かしこまりました!!」
宗一郎の秘書は慌てて部屋を出ていった。
宗「全く!!」
宗一郎は乱暴に部屋のカーテンを閉めた。
小久貫宗一郎は苛立っていた。
自分のことだけならまだ我慢できた。
しかし、息子の起こしたことまで世間に知られてしまった。
優太の自殺の件では、早急に学校に圧力をかけたことで事なきを得た。
しかし、その件が原因で殺人が起き、またこうして騒がれることとなった。
さらには商店街の放火事件のことまで調べられている。
宗一郎はある意味崖っぷちだった。
宗「ハァ……」
宗一郎は頭を抱えた。
今まで、息子の起こした問題は全て揉み消してきた。
いじめのことも、商店街の放火のことも。
全ては息子を立派な官僚にするためだ。
だが、当の息子はそんな気持ちも露知らず、傍若無人に振る舞っていた。
今は『赤マント』に怯え部屋に籠っている。
宗「息子の育て方を間違えたかもしれんな……」
宗一郎は締め切ったカーテンを見つめながらそう言った。
外ではマスコミの声がまだ聞こえていた。
『赤マント』は宗一郎に向け思い切り鎌を振り下ろした。
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