小久貫邸

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浩一は警察から少し離れた場所で小久貫邸を見ていた。 マスコミはぞろぞろと帰り出していた。 美「マスコミは根性がないねぇ。探偵は根気が大事ってね」 浩一はスナック菓子を食べながらそんなことを呟いた。 調査対象だった繁が殺されてしまった浩一は、一真を張り込むことにした。 『赤マント』の次の標的は一真である可能性が高いと思ったからだ。 浩一の車には、張り込みが長引くと予想して買っておいたスナック菓子が大量に置かれていた。 美「『赤マント』か。まさか探偵になって妖怪を相手にすることになるなんて……」 美「ん?」 何やら動きがあったようだ。 警官たちがぞろぞろと集まり出していた。 そして、数人は外に散り、数人は小久貫邸に入っていった。 美「何かあったな」 浩一は車から降りた。 浩一は小久貫邸の見取り図が全て頭に入っていた。 裏口の場所も把握していた。 しかも今は警備が手薄になっている。 浩一は簡単に小久貫邸に入り込むことが出来た。 美「うわっ。スゴい豪邸」 浩一は実物の小久貫邸の広さに驚いた。 美「えっと。こっちかな」 浩一は邸内に入った。 邸内は広くまるで迷路のようだった。 美「何処だ? ……ん?」 浩一はあるものを見つけた。 美「これは……血?」 浩一はカーペットに付いた血を見つけた。 それは点々と続いている。 浩一はその血を追っていく。 美「あ……」 目線の先に人だかりがあった。 浩一は思いきって人混みの中に入っていく。 ?「あ、おい!!」 誰かの怒鳴り声が聞こえたが、浩一はそれを無視し前に進んでいく。 少し苦労したが浩一は人混みを抜けた。 美「っとと。ふぅ……」 浩一は躓きそうになるのを踏み止まり、前を見た。 美「!?」 浩一の目の前には、一真の死体があった。 体はバラバラにされており、辺りに血が飛び散っていた。 さらに、宗一郎の死体もそこにあった。 宗一郎の死体は壁にもたれ掛かるように座らされていた。 その宗一郎は、一真の首を抱き抱えていた。 その光景は異常だった。 浩一はその死体を見て驚いた。 後ろからはえずく声が聞こえていた。 美「クソッ……」 浩一は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
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