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翼「……うん、うん。……分かった。ありがとう」
翼は電話を切った。
翼「美濃部から。……小久貫一真が殺されたって」
翼の言葉に周りは複雑な表情を浮かべた。
白「結局止められなかった……」
秋「私たちがやって来たことは無駄だったってことね」
須「いや。敵の本拠地が分かったんだ。ここで待ってればアイツも現れんだろ?」
翼「美濃部の話だと、小久貫だけでなく、彼の父親である宗一郎や彼の秘書も殺されてたらしい。明らかにエスカレートしてる」
翼は携帯を握りしめた。
翼「……復讐はまだ終わってない。俊介や姫愛もターゲットだ。何としてでも止めないと」
須「……戻るのか? アイツらのところに」
翼「…」
翼は無言で頷いた。
須「……んじゃあさっさと戻ろうぜ。こんなとこで突っ立ってるのも疲れたしよ」
大樹はそう言って歩きだした。
葵衣や茜もそれに続いた。
上「翼」
拓実は翼に声をかけた、
上「今の優太は見境がなくなってる。俺の説得にも応じないかもしれない」
翼「……」
上「気を付けろ。復讐心に駆られたやつは何をするか分からない。俺だって同じことを思ったことがある。『赤マント』と同じように「アイツらを殺したい」。そう何度も思ったことがあるんだ」
翼「……そうしなかったのは何で?」
上「優太の顔が浮かんでくるんだ。笑った優太の顔が。その顔を見たら自然と落ち着くんだ。毎日毎日、それの繰り返し」
翼「……」
上「……あいつには俺の顔は浮かんでるのかな」
翼「……大切な思い出はそう簡単に忘れないよ。それは幽霊も変わらない。俺はそう思う」
上「……」
そう言った翼の脳裏には、笑った母の顔が浮かんでいた。
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