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膣の中は温かくて窮屈だ。しかし、それが快楽を呼ぶ。腰を動かせば動かすほど乾いた音が辺りに轟き、優里は甘ったるい声で鳴き続ける。
額に滲んだ汗が頬を伝い、顎先からポタポタと滴り落ちていく。冷房は効いているのだが、動いているせいか汗が良く出る。
優里の足を限界まで開き、ピストンエンジンのように激しく動けば、優里はやめてと言わなくなった。──いや、言えなくなったのだ。
セックスには自信があった。なぜなら、今まで数えきれない程の女と寝てきたからだ。 俺と寝た女達は決まって言う。次はいつ会えるか、と。
けれど、女達に次はなかった。一度寝た女には興味がない。だから、電話やラインがきても無視し、自分からは一切連絡をしなかった。
それでも、優里は違った。何度寝ても会いたくて仕方ない。必要以上に電話やラインをして、会いたいことを伝え続けた。
何もしない、そう約束して会ったはずなのに、俺はあっさりとその約束を破った。そのせいで、優里はずっと泣いているのだ。
「優里。俺と一緒に暮らさないか?」
情事後、ベッドの上で横たわっている優里の隣で煙草を吹かす。彼女は顔に付着した俺の精液を拭き取ろうとはせず、ただ泣くばかり。
幸せにする、とは言わない。暴力団の俺が、優里を幸せに出来るはずがない。それが分かっているはずなのに、俺は彼女を傍に置きたくて仕方なかった。
組長はそう長くはない。オヤジが死ねば、俺は組のトップになれ、直に大宮会の幹部へ。「まだ三十五歳の癖に」だとか「若造のくせに」などと組の舎弟頭や若頭補佐達が影で言っているが、極道の世界に年齢は関係ない。全ては実力。所詮、負け犬の遠吠えだ。
優里は俺をキッと睨んで、
「……嫌です」
顔も見たくない、と話を続けた彼女は、枕に顔を埋めて号泣し、嘘つきだと何度も泣き叫ぶ。
「嘘ぐらい誰でも吐くだろ? くだらない事でいちいち泣くな」
「くだらない事って何ですか? 無理矢理犯しといて、すみませんの一言もないんですか?」
顔を上げた優里は、信じられないというような顔をしている。
俺は吸いかけの煙草の火を灰皿で揉み消し、
「なんで俺が謝らないといけないんだ? お前だって乗り気だっただろ?」
「あなたには話が通じないんですね! 何もしないって言ったくせに」
「何もしないとは言ったが、ヤらないとは言ってない」
「でも、嘘を吐いたって──」
「ああ、日本で一番愛してると嘘を吐いた。本当はこの世で一番だ、喜べ」
「喜べません!」
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