第六章 突然の訪問

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立派な体つきの馬を四匹携え、金で装飾された大きな馬車。馬車の窓からは、男性が村を見渡している。 馬車使いのおじさんは、不思議そうに辺りを見渡しているけど、誰もその人達に声をかけようとはしない。 今まで村に馬車が来た事すらないのに、何故こんな田舎村に貴族様が来たのか、さっぱり分からない。 村人の誰かが貴族とパイプを持っている話も聞いた事がないし、こんな辺鄙な村に引っ越して来た筈もない。 俺が色々と考えを巡らせていると、馬車の中にいた貴族と目があってしまい、貴族は俺に向かって手招きをしている。 本当は外に出たくはないんだけど、断ったら断ったで失礼かと思った俺は、恐る恐る家から出る。 周りの家からは、俺を心配する視線が送られる、それが逆に追い討ちな気がする。貴族は俺の顔を見ると、即座に馬車から降りて、こう言った。 「・・・君は・・・  もしかして、『エルジオ』の息子かい?」 「ひえっ?!」 エルジオとは、俺の父の名前。 何故父の名前を貴族が知っているのか、そんな名前が飛び出してくるなんて思いもよらなかった俺は、情けない声で返事をしてしまう。 頭が一気に混乱して、その場でウロウロ回り続ける。だって父は、貴族の知り合いがいる事なんて、一度も口にした事はなかった。 普通遠い親戚であろうと、王族や貴族の知り合いがいれば、一生自慢できる筈なのに。 何故父は、そんな事実を俺に隠していのか。そもそも、何故隠さなくちゃいけなかったのか・・・。 色々考えていると頭がパンクしそうで、俺は井戸にもたれかかって深呼吸をする。 俺の奇怪な行動を見た貴族は、心配そうに俺に話しかける。
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