第八章 隠されていたもの

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第八章 隠されていたもの

「これは・・・」 暗くてよく見えないけど、下板に二つの凹みがある。まるでタンスの開け口の様な・・・。 「・・・まっ!!まさかっ?!」 俺はすぐ体を表に出し。父のベッドを力任せにひっくり返す。 今までずっと違和感を感じていなかったけど、父のベッドは、まるでタンスに木版を繋ぎ合わせた様な構造になっていた。 ひっくり返そうとベッドを縦にすると、ベッドから「ストン」という、何かが下に落ちた音が聞こえる。 俺が慌てて床を見たけど、何も落ちてはいない。つまりこのタンスの中に、まだ『ナニか』があるという事。 俺が息を切らせながら家の中でバタバタしていると、近所の人が駆けつけ、一緒にベッドをひっくり返す手助けをしてくれた。 大人の男四人の手で、ようやく父のベッドは裏側を見せてくれた。 ひっくり返した途端、『ガターン!!』という轟音が村の外まで響き、子供達が騒ぐ声が聞こえる。 俺は恐る恐るタンスのドアを開くと、そこには予想に反して、だいぶガランとしていた。あったのは、数枚の紙のみ。 一応俺のベッドの下板も調べたけど、特に変わった様子はなかった。俺はその紙を握り締め、猛ダッシュで村長の家まで戻る。 家の騒ぎは村長の家まで響いていたらしく、ジュチルさんは頻りに俺を心配してくれた。 俺は父のベッドにあった仕掛けを話し、タンスから持って来た数枚の紙をジュチルさんに見せた。 まだ紙に書かれている内容をちゃんと呼んでいなかった俺は、改めてその紙に書かれてる文字を読み、思わず驚愕してしまう。
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