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第二章 父から受け継いだもの
そんな俺の本職は、『雑貨屋』の店主。でも店主になれたのは、つい最近の事。それまでは父が店主を務めて、俺はお手伝いを務めていた。
雑貨屋ではあるけど、もう『なんでも屋』だ。村の外から仕入れた農具の他に、手作りした竿やお菓子も売っている。
とりあえず物がない時は、俺の店に来る。俺の店に来ればある程度の物は手に入るし、俺一人なら町へ品を探す事なんて造作もない。
村人達は、この雑貨屋をとても頼りにしている。村には雑貨屋以外の店がないし、村の外に行くだけでもリスクがある。
だから子供達のおつかい場所といえば、大抵俺の店。お菓子も売られているから、雑貨屋は子供達の拠り所にもなっている。
村には学校がないから、子供達は村長の家で、定期的に授業を受けている。読み書き、計算、自然の知識など。
子供達は、俺の知識も参考にする。特に自然に関しての知識は、村で生きる人なら必須な知識。
薬草の知識も必要だけど、毒のある植物も学んでおかないと、後悔すらできない事態も考えられる。
大抵子供達は、森に生息する植物を手当たり次第に取ってしまう。毒があるとも知らずに。
だから俺がある程度自分で描いた絵を使いながら、毒のある植物について教えてあげている。
もちろん子供達の親も教える事があるけど、仕事で忙しい時間帯は、俺が面倒を見ている。
俺には兄弟も姉妹もいないから、村に住む子供達が全員、弟や妹のような存在。
面倒を見たお礼として色々お恵がいただけるわけだから、俺にとっては一石二鳥にも三鳥にもなる。
俺が物心がついた頃には、既に母親はいなかった。父の話によると、俺を生んですぐ、病に侵されて亡くなったそう。
ちなみに父は、この村出身の人間ではない。ただ、生まれ故郷が一体何処なのか、何度も何度も聞いたんだけど、結局聞けずじまいだった。
父は、自分の生まれ故郷を村民にも話していなかったらしく、俺がどんな手段を使って調べようとしても、結局は無駄足に終わっている。
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