辛杉家の憂鬱 ララ編

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「亜美が褒めてくれるから頑張っちゃった。でもうちの二番目のお(にい)はこれを三刀流でやるよ」 「どうやって⁈」  超びっくりした声で聞かれたので、痛い目をこじ開け包丁を口にくわえるジェスチャーをして説明した。 「こう、もう一本口にくわえて、『三刀流、玉・斬り!』って」 「怖いわ」  なにその格好とネーミング、と亜美は引き気味だ。気持ちはわかる。でも仕方ない。 「二番目のお兄はオタクだから。最近は『全集中!』とか言って呼吸法から入ってるよ」 「なんか混ざってない?」 「そして具材切り終わったら『また、つまらぬものを斬ってしまった……』って」 「ごめんどこからつっこんだらいい?」 「お兄の存在自体から、かな」  会話をしながらも二人で作業を進めて、野菜を切り終わった。冷蔵庫から肉も出して、温めて油を張った鍋に次々と具材を投入して炒めていく。そろそろいいかなと思ったら、鍋に水を入れて煮込んでいく。
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