冬でも無敵になる方法

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冬でも無敵になる方法

 先日、寒すぎてメンタルと体調を同時に崩して一日寝込んだ。ので、試しにこんな催しをしてみた。  これ以上ないぐらい着込めば冬でも無敵になれるんじゃないか大会~! 「ナニゴトであるか」  ナニゴトもオママゴトもないんですよ。武士、今から着込んでください。これ以上ってないぐらい。 「なにゆえ」  我々は今からコンビニに行かねばなりません。晩御飯はシチューにしようと思っていたのですが、肝心のルーがありませんでした。あと牛乳もなかった。よって買いに行かねばなりません。 「今よりかれーへと方向を変えるのは?」  却下。カレーのルーもない。 「ならば、肉じゃが」  可能だが、それだと向こう二日肉じゃが単品で乗り切らないといけなくなる。 「ううむ、であれば出かけるしかないか」  おう。で、今日も今日とて寒いからね。いくらでも服を貸してやるから、ちょっとこれ以上ない着込んでみてくれ。 「うむ」  そして数分後――。 「できた」  私の目の前にいたのは、武士の面影もないただの布だるまだった。 「名付けて“まきまきくるみん”」  いっちょまえにかわいい名前つけおって。しかし、重ね着に重ね着を重ねた結果全身から凹部分がなくなっているので、確かに見ようによってはかわいいかもしれない。  あれだな、どことなくあいつに似てるな。  ベイマックス。 「息がし辛い」  アウター三枚ぐらい着てりゃ、そりゃなあ。  で、寒さは? 「もう暑い」  上々だ。 「そう言う大家殿は……なんというか、不審の極みであるな」  うん。露出部分は全部潰したからね。目出し帽に眼鏡もかけてるから、これもう最強よ。 「その怪しげな布をかぶっていれば、ますくはいらんのであろうか」  わからん……。でも一応つけとくか。 「大変だ、大家殿。お主の隣を歩きたいという気持ちが微塵も湧かぬ」  それはお互い様だから、ほら。 「寒さは?」  もう暑い。 「上々である」  そんなわけで、それぞれ最強になった私達はコンビニに向かったのである。本日の締めとしては、人間冷たい風には耐えられても冷たい視線には耐えられないってところです。お疲れ様でした。
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