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肌の表面を撫でる感触で目が覚める。否、完全にではない。その感触だけをかろうじて追える、薄い目覚め。
またこの夢か。
快くはないが、所詮は夢だ。目を閉じて、やり過ごしていれば良い。
そう思って固く目を閉じた瞬間、右手に鋭い痛みを感じた。一瞬の後、痛みは止む。気のせいだろうか。そう思ったのも束の間、同じ痛みが全身のあちこちを走った。
何とか夢から覚めようと、渾身の力で目を開いた。
普段通りの天井。もちろん痛みは消えている。やはりまだ早いが、もう一度眠る気にはなれなかった。
まだ鳴らないアラームを解除して、出かける準備をする。
同じ夢を二回見ただけだ。そんなことはよくあることなのに、なぜかひどく胸が騒いだ。
明日は休日だ。ちょうど締め切りの近いレポートもある。今日はいっそ徹夜してしまおう。そうすればあの夢を見ないで済む。
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