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再び夢の中で目を覚ます。まだ瞼は開いたままだ。
今夜も眠らないように努力したが、案の定徒労に終わった。
痛みはもう随分鈍くなっている。人間の痛覚というのは、皮膚の表面付近に集中していると聞いたことを思い出した。
虫たちは、最早私の皮膚を食い尽くしてしまったのかもしれない。
彼らが移動する音に、湿り気が増した気がする。
私の体を舐め、時に床を走り、あるいは羽を広げて飛ぶ彼らを、ただ茫然と見つめる。
無数の柔らかな何かが、指の間に入り込もうと争っている。一匹、二匹と隙間に押し込まれ、後ろから押されて反対側から出てゆく。そしてその度に、一度に入り込む数が増えている。
口の中に硬いものが侵入してきたが、それを吐き戻すことはもちろんできない。
小さな硬いものが、私の舌を引っ張り、えもいわれぬ痛みが走る。
どんなに気持ち悪くてもこれは夢なのだ。目が覚めれば、清潔で健康な世界が私を待っている。それだけが救いだった。
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