私は故人です。

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私の名前は花音。 実はね、私は5年前に死んでいるんだ…。 10歳のとき幼なじみと家族ぐるみで海に行って、波に攫われた…。 突然大きな波が来たと思ったら、次の瞬間には海の中だった。 息ができなかった。 もがいて、もがいて…。 でも海の上に顔を出すことができなかった。 次第に苦しくなって…。 最後に見たのは、海面越しに照り輝く太陽だった。 しんみりしちゃったね…。 話を変えるね。 私には、幼なじみがいるんだ。 3つ年上の琉惺(通称『りゅうちゃん』)。 りゅうちゃんはイケメンでね、とっても大人なの。 いつでも私を想ってくれてるの。 私が死んだ今でも…。 りゅうちゃんは、私が死んだのが自分のせいだって思ってるんだ。 今もずっと…。 だから、りゅうちゃんは5年前からずっと幸せになろうとしないの。 りゅうちゃんは、いつでも『自分は幸せになっちゃいけないんだ』って思ってるんだ。 私のことは忘れて欲しくないけど…。 私のことを想ってくれるのは嬉しいけれど…。 でも、それでりゅうちゃんの幸せを奪っていいわけじゃない。 りゅうちゃんはりゅうちゃんの人生を歩まなきゃ。 私のことばかりを気にかけてないで…。 自分のことをちゃんと考えなきゃ。 だからね? 私今からりゅうちゃんに会いに行ってくるの。 もちろんりゅうちゃんの夢の中で。 どういう反応するかな? やっぱり驚くよね? 昔みたいにぎゅうって抱きしめてくれるかな? 頭を撫でてくれるかな? 会えて嬉しいって喜んでくれるかな?
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