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『そろそろ朝になるみたい…』
寂しそうな表情をする花音。
「…花音」
『ん?』
「ありがとうな、会いに来てくれて」
『っ…』
「ずっと会いたいと思っていた。でも叶わない夢だって思って諦めていた。思い出に浸っては、花音がいないことに絶望して…」
『りゅうちゃん…。私も会いたかった』
「俺はずっと自分のせいだって思って生きてきた」
『うん…』
静かに俺の話を聞いてくれる花音。
「すぐに考えを改めることは難しいと思うけど…。少しずつ、自分のことも考えていこうと思う」
『うん…』
「でも花音のことは忘れないから」
『う、ん…』
「だってこれから先の俺は、花音のおかげで変われるんだからな」
『っ…』
「ありがとう、気が付かせてくれて。ありがとう、自責で苦しんでいる俺を救ってくれて」
『りゅうちゃん…』
「花音、大好きだよ。いつまでも」
『私もっ!大好きだよ、りゅうちゃん。いつまでも応援しているからね。いつかりゅうちゃんがこっちの世界に来るまで、待っているから』
花音が微笑んでそう言った瞬間、花畑の花がふわっと舞い上がり、花音が白い世界に消えていった。
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