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エピローグ
私は何とか、高等学校卒業程度認定試験に合格し、仕事に就く事が出来た。給料は安いけど、身分相応だ。
贅沢を言える身ではないよね。
運送業関係の仕事に就いたので、頑張ってフォークリフトの資格も取った。
今は大型の免許取得にチャレンジ中だ。
思い起こすと、再スタートばかりの人生だけど、資格を取れば、仕事の幅が広がるし、道も開けてくる。
どんな時でも、諦めてはいけないのだ。
それと、パフォーマンスも、梢さんとコンビを組んで続けている。お互いの仕事が違うから、日程調整が大変だけど、仲良くやっている。
コンビ名は『刃物と蛇』と二人で話し合って決めた割には、これと言った工夫もなく、そのままだと言われそうだけど、私達の出会いのきっかけとなったペインキラーでの想いを引き継いでいくには、良いネーミングだと思う。
二人で楽しいステージにすることをモットーにやっているけど、お互いで切磋琢磨もしている。
梢さんのナイフ投げにも磨きがかかった。私がボールジャグリングをやり、動いているボールを一つずつ、ナイフで打ち抜いて行くのだ。
「次は、ファイヤーナイフだな。火を吐く蛇と組んでいることだし」
と、次の構想も言っている。流石、梢さんだ。
私も相変わらず、蛇さん達と戯れて、チェーンを鼻から入れて口から出し、最後は火を吐きまくる。
他には手品のバリエーションを増やした。パフォーマンスの方も色々な事にチャレンジ中だ。
パフォーマンスの実力については、幼い頃に見た見世物小屋のお姉さんには、到底及ぶものではないけど、仕事をやりながらでも、このパフォーマンスは続けて行きたい。
いつかは、あのお姉さんの足元にくらいは辿りつけるかな。
何て思いながら、ふと、晴れ渡った空を見上げ、思うことがある。
蛇さん達に子供が出来、増えた水槽が占拠する部屋を頭の中に思い浮かべて、微かな笑みを浮かべながら……。
あのお姉さんは、今、何処で何をしているのだろう……。
FIN
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