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同じ夢を見て、目を覚ます。これで三度目だ。何か深い意味でもあるのだろうか。思わず考えてしまう。
昨日、何度も見た見世物小屋の動画のサイトを再び開く。
若い人達の熱演に視線を奪われる。一つ間違えば、命取りになるような危険なショーを、新鮮かつ爽やかな感じで行っている。
何度か見ているうちに、自分にとって何かが足りないように感じて来た。
何だろう……。
おどろおどろしさ。
ホラー的な要素。
耽美的な感覚。
違う!
どれも違うのだ。
自分が思っている事が分からない!
イラつく気持ちを抑え、何とか自分の考えている何かを、導き出そうとしているけど、全く何も頭の中に閃かない。
一体、自分は、このショーに何を求めているのだろう……。
分からないなら、それでも良いか。
投げ槍な気持ちになり、テレビのリモコンを握る。
こんなモヤモヤした状態のままで良いのかな。
テレビのスイッチを入れようとしている右手にブレーキがかかる。リモコンを放り投げ、再び別のサイトを開き、あの時のお姉さんのショーを何度も見てみる。
何かが違う。
普通に見て感じる感覚とは全く違う物だ。
鬼気迫るような雰囲気を漂わせる世界観。人間の心にトラウマを植え付けるかのような、異世界から現れた悪魔の演出。
他の追随を決して許さない、彼女だけが知っている境地の果て。
在り来たりの言葉では、表現する事が出来ない。
自分の表現力の貧しさの前を、虚しさだけが通り過ぎて行く。
引き籠りの私に、そんな能力がある筈がないよね。努力とは全く無縁の世界を生きてきたのだから。
諦める?
何時もの私ならそうなるのかな。
けど、今回は妙に拘り出したこの気持ちを、簡単に捨て去ることが出来ない自分がいる。
分からないなら、分かるまでやってみたら。
かなり痛い思いをすることになるけどね。
痛みなら、学校生活でたっぷりと味わっているから。
あれ以上の痛みってあるのかな。
チャレンジしてみたら。
痛みを経験しなければ、何も理解出来ないと思うけど。
学校であれだけ痛みを味わった結果、こうなったけどね。
あの程度の痛みじゃ、何も得られないわよ。
貴方は真の痛みを知らない。
真の痛み……。
久しぶりに繰り返した自問自答。
息を洩らしながら、勝手に笑いだす。
面白そうだな。
やってみようか……。
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