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解決
間もなく。叔父は弁護士事務所に相談をしてくれた。
それから、あまりにもあっさりと解決した。
「終わったよ。
もう店に行く必要はないからね?
お給料は当日払いという契約だったから、もうもらっているよね。
もちろん違約金も発生しないから、何も心配する必要はないよ。
何か困ったことがあったら、この弁護士さんにいつでも相談してね?」
叔父はにっこり微笑み、そう言った。
私は思わず涙が溢れたー……
なんでもあの店はほぼモグリで営業していたらしく、下手したら警察が来て大問題になるらしい。
違法行為をスレスレで実行しており、なんとかうまくやっていたんだと。
だからバイトの女の子に、売上金を当日払いをしていた、というのもあったらしい。
どうやらうまく法律を潜り抜ける方法があるんだ、と。詳しくは分からないが。
ただでさえ違法スレスレの店が、ここで私にしたことを弁護士事務所を通じて問題化されたとしたら。
芋づる式に他の問題点も発見され、あっという間に捜査の対象となり、潰れるかもしれない。
だからこそ、私を違約金なしにこのまま辞めさせる、という依頼にあっさり同意したのかもしれない。
あるいは辞める際の違約金に関する説明をほぼされておらず、控えの契約書を渡されていたかったのも関係しているのかもしれない、が。
「夢乃はもうやりたいことをやれば良いからね」
「夢乃はもう自分を卑下することもない、あの家に居続けることもないよ」
「もし家を出るのなら、できる限り協力するから」
叔父と叔母はそう言ってくれた。
そうだ、私は家を出たいんだ。
叔父も叔母もそれを見透かしているんだ。
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