腹膜炎

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腹膜炎

 高校の頃、腹膜炎になった。 「お腹が痛い」  あの女に訴えるも、 「あ、嘘の病気だ」  あの女はそう言ってくすっと笑った。それでもいつもの痛さと違い、冷や汗も出てくる。するとあの女は、私の背中を激しく叩きながら、怒鳴った。 「おまえはな!!結局こうして私の気を引きたいだけなんだろ!!だから具合悪くなるんだよっ!!!」  学校休むことも許されず、私は青ざめた顔で冷や汗流しながら学校へ行った。  薄い顔で表情も薄く、もともと青白い顔色なのと、友達もいないので誰も心配なんてしてくれるわけもなく。  その日もあの女は心配なんかせず、なのに妹には、 「乃絵留(のえる)ちゃん、学校どうだった?嫌なことなかった?体調はどう?」  とベタベタしている。これ見よがしに。  翌日。熱が39.8もあるのに、 「あんたのやることって全部わざとらしく見えるんだよね?精神的なもんでしょ?そこまでして私の気を引きたいの?気持ち悪い。本当にこのまま死ねよブスっ!!!」  そう言って蹴飛ばしてきた。  結局…半ば強引に保険証をもらってひとりで病院へ行った。 「ふんっ、ずいぶん手の込んだ嘘だね、バーカ」  と嫌味を言われた。 「こりゃあ盲腸だな」   病院で診察されて数分でそう言われた。 「これから色々詳しく見てみるから。これは切らないとダメだよ」  お医者さんは言った。 「君、まだ子どもだから、親御さんに連絡しないとなぁ」  お医者さんはそう言った。盲腸というのも衝撃なのに、あの女が同意するわけがない。  結局…  あの女は世間体を気にしてか病院に一応来て、先生の前だからか私に、 「なに?あんた盲腸だったんだって?」  なんて苦笑いしてほざいてきた。
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