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頼れない
だから私は家族の誰にも頼れない。誰にも頼れない…だから誰にも相談をすることなく生きてきた。
早く家を出たかったが、まとまったお金もなく、保証人になってくれる人も家族にはおらず、できなかった。
仮に父に話をしても、父からあの女に通達が行くに違いないー……
「保証会社もあるけど…ただ、いま貯金どれだけあるかな?家賃の6ヶ月分はないと厳しいなあ」
「貯蓄額の分かるもの、あるかな?例えば通帳とか…
え、これが全財産!?これじゃあ厳しいなあ」
……部屋も借りられない。
そんな中、風俗バイトのスカウトをされ、安易に風俗バイトを始めてしまった。
「ん?おめぇ、一人暮らしをしてぇのか?」
たまたま社長と雑談する機会があり、そんな話になった。
「ウチには寮があっからよ。入りたくなったらいつでも言え、なっ?」
それから社長はよく店舗に来ては、待機室で私に話しかけてきた。
「おめぇ、なんかいっつも暗いなぁ。何があった?何でも話せや、聞いてやっから!」
「ん?親とうまく行ってねぇのか?そんならおめぇ、それこそ寮に入れや!」
社長は話してみると、口はあまり良くないかもしれないが、気さくで寄り添ってくれるような面もあった。
ちなみに店長も似た感じだった。
「俺も親とうまく行かなくてよォ。18で家出したんや」
「ここに来る女はわけありの奴が多いからなぁ」
「まぁ親との関係がすべてじゃねぇからよぉ。俺がアユの親代わりになってやるわ!」
社長はやたら気さくにそんなことを言い、店長にはもっとシフトを入れるように言われた。
「おいアユ。もっとシフト入れんのか?これじゃあいつまで経っても客つかねぇぞ!」
そんなことを言われ続けたが、男性経験もなく人と話すことが極度に苦手な私には、これが限界だった。
汚い、汚い……
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