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 大変著しく寒波は走り抜けた。吹雪からしてみれば沈み往く夕陽から照らされながらも斑(まだら)な、しかし溶解することなどはなされぬままに樹木やら人が造りあげた建造物など全般。地面から直立しつつある物体へと凍てついた水分を満遍なく付着させていたのだったけれども。  北方である。方角と云えば寒波が来遣る大本は冬季にもあれば正(まさ)しく。  彷徨するかのごとく紆余曲折を経由して荒(すさ)ぶる季節風だとしたところで。 しかしなれどもならでは如何せん掌(たなごころ)にて弄ぶか人類と表現しえるえる範疇にあたりにおける霊長へと類いするにおいてからより、地球という概念の上にある倫理上の地上においての。 長とも成りえよう人類にかんしての人を人間として至らしめん事柄などはなしとて、但し書きなどのように用いられるとされながらにして。 通常時平常時されどからのこと、尋常ではないていどの激しい寒波を凌ぐためにて身体(からだ)を覆い保護せんがための防寒具および衣類にかんする。 凡てにおいてを山へと分け入った人物その人においては場において装着せずにあった。 裸体においてだとすれば晒すことになど周囲にたいして臆することなど無きにひとしいようであればあるほどだったことが、身辺周囲へと点在していた猿から成る群れの様相および形相の険しやかさなり和やかさであったり。 さりとて去りぎわ寂し気な表情を彼らそして彼女らは、多少なりとも人間ならざる顔面へと表情として昇らせたことが毎度の事象であって。 有象無象の森羅万象についてのこの世界へかんする法について則ったもしくは則らなかった箇所において。  なので、霊長における人間という立場にかんしてのありさまに関係したことによる際限なく訪れるであろう獣としての彼らそして彼女ら皆全部との境界線から成り立ちがてら語群を列挙するならびに豊富な知識および、それぞれ種からの個々としての成立などを紐解けば安寧にしてしかし。  謙虚なる姿勢から生(な)るであろうとも畏敬から別れを余儀なくされるのであった。枚挙するにあたり、相応すれば暇(いとま)の容易かろうが難儀であろうにせよ未曾有な行為にたいしての微塵の躊躇いについてが、内心においてより派生することのありえないなかにおける。  男は滾々と湧き出る硫黄の泥めいた暖かな泉より身体(からだ)としての自分にかんしてを引きあげる心持ちにおいて拍車を掛けてから、浅かりし微温湯の満たされた場から二本の脚にて起立したのだった。
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