第43話 帝都アルバニアⅢ

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 ジンとベルモッドの2人は村での懐かしい日々を振り返りながら杯を交わしていた。 「そうか、もう15になったのか。月日が経つのは早いなぁ」 「そういうものなのですかね? 父上達に挑み始めてからの4年間は確かに早く感じましたが」 「ああ、おっさんになるとジンにも身に染みて分かるようになるさ。ところで帝都には何しに来たんだ? 観光か?」 「正直それもありますが、一番は収納魔法(スクエアガーデン)の陣を買いに来ました」 「ほ~、陣魔空間を…え!? お、お前あれがいくらするか知ってるのか!?」 「はい。マイルズのエドワード団長に伺いました。大金貨30枚ですよね?」 「なるほどエドワード団長に…いや、そうだけども。聞くまでも無いと思うが、その、持ってるのか? 30枚」 「はい。今はギルドに預けてありますが、母上に路銀にと頂いたのです」 「ジェシカさんか…いつまでも女神様だなぁ」  当然ベルモッドはジェシカの事を知っている。  ジェシカは村一番の美貌と優しい人柄で駐屯隊でも評判だった事もあり、団員の中にも憧れる者が続出。なんとかジェシカとお近づきになろうとするが、ジェシカの巧みな話術と要所で繰り出される笑顔に敵わず、結局誰も願いを叶える事は出来なかった。  そして団員達も村人と同様に、その二つ名である女神を呼称するようになっていき、口説いている最中にロンとコーデリアに見つかった者は無残な結末を迎えていた。  結果、スルト駐屯隊は密かにジェシカ不可侵協定を作り、協定発効から14年、その事は新任の者にも引き継がれ、今や伝統となっているのであった。
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