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荷物を宿まで取りに戻り、大金貨30枚をバンクから引き出す為、冒険者ギルドへ向かう。入るなり受付から声がかかり、その窓口まで行くと、昨日色々教えてくれた受付の職員さんだった。
「こんにちはジン君。ちょっといいかしら?」
「はい、なんでしょう」
「この依頼をジン君に受けて欲しいの」
そう言うと引出しから1枚の依頼書が出てきた。張り出す前の依頼書のようだ。
「これは…カーネル卿アルバニア別邸の木の移動作業?」
「ええそうなの。今朝出された依頼なんだけど、難易度は下級以上でジン君にも受けてもらえる依頼よ」
「おおっ! それは有難いです! ですが貴族様のお家ですか…私で大丈夫でしょうか?」
「君ならきっと大丈夫よ。別にカーネル卿と話す機会なんて無いでしょうし、仕事は管理人さんの指示通りに植わっている木を移動させるだけ。なんでも庭の景観を良くする為らしいわ。木を移動させるには、周りを掘って木の根元から引き抜かないといけないから、強化魔法を使える人じゃないと難しいのよ。期間は3日。報酬は見ての通り金貨2枚!」
木を移動するだけで金貨2枚!?
それに強化魔法で引っこ抜くより木魔法で移動してもらった方がかなり楽では? これを逃す手は無いな。
「やらせて頂きます」
「ほんと!? ありがとー! じゃあ早速受付処理しちゃうから、ギルドカード出してもらえるかな?」
言われた通りギルドカードを出すと手際よく処理され、カードと地図を受け取る。そこでふと大金貨30枚の事を思い出し、ギルドカードをもう一度差し出した。
「あの、バンクから大金貨30枚を出して頂きたいのですが」
「えっ!? は、はーい。ちょっと待ってね!」
(ホ、ホントに入ってるわ…可愛くて強くてお金持ち。もう求婚しようかしら。はっ! だ、ダメよ! 相手はまだ15歳! さすがに引かれるわ!)
目の前に10枚ずつ綺麗に積み重ねられた大金貨を金袋に入れ、ギルドを後にする。
「では早速行ってきます! えーっと―――」
「ニーナでいいわ♪」
「ニーナさん!」
笑顔で挨拶をした。わざわざ俺の為に依頼を残してくれていたのだ。今後も世話になるかもしれないし、少しは愛想よくせねば。
ギルドの扉を開けたら受付の方からガタンと音が聞こえたが、気にせずギルドを出た。
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