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「すごいです先生。今のお話でも先生の偉業は歴史に残るものでは無いでしょうか」
「私はそんなものには興味は無いのですがね。陣魔空間が収納魔法として、色々な人に役立ててもらえるならそれでいいのです。今の私の研究は、その魔力干渉と出口の設定です」
「確かに…陣魔空間に出口が設定できれば、世界の移動の概念が変わります。それこそ都市間、もっと言えば大陸間で瞬間移動が出来てしまう」
「その通り。だが、それを行うには膨大な距離の空間を作る魔力が必要となる」
「数年かけて魔法陣に魔力を込めなければならないとなると、馬を走らせた方がよっぽど早いですもんね」
「課題は山積みだよ」
そう言って先生はカラカラと笑う。その表情は言葉とは裏腹にとても楽しそうだった。
「ジン君、とても楽しかったよ。原素については他の研究者にも伝えてあるんだがね。やはりその身で魔素との違いを体感できる者でないと、理屈が分かってもなかなか及ばない面がある。君は私が初めて会った原素の理解者だ。おそらく世界には、原素を感じることが出来る人がまだまだいると思う。世界を旅して、ぜひそのような人を私に紹介してくれ!」
「先生からの任務、承りました。私も原素について旅をしながら考えます。その時はぜひ聞いて頂ければ幸いです」
「ああ、楽しみにしているよ」
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