第47話 ドラゴンキラー

2/4
前へ
/1008ページ
次へ
 アルバニア騎士団監視塔の衛士は、南西の森に広がりつつある炎を見て驚嘆の声を上げていた。 「まだ戦ってる…さっき竜の翼が千切れたように見えたが、幼体とはいえ黒王竜(ティアマット)と互角にやりあえる冒険者パーティーが帝都(ここ)にいるのか? 可能性があるのはギルドマスターのアイザック氏だが…」  はっきり言って帝都の冒険者は強くない。なぜなら強い冒険者は皆、西部か南部の魔物大量発生地帯に行ってしまうからだ。そうでなくても帝国一の力を持つ騎士団と魔法師団が常駐しているのだ。彼らの警戒地域の魔物は大抵狩られてしまう。  騎士団、魔法師団の混成討伐隊100名が帝都を出発した頃、先行していたギルドマスターのアイザック他4名は、遠方で燃え広がる炎を見て危機感を覚えていた。 「あの炎の中で戦ってるとしたら、もう既に何人かやられていてもおかしくはない。我々の役目は今戦っているパーティーを一人でも多く救出する事、次に騎士団が到着するまでなるべく足止めをする事だ。皆気を引き締めてくれ!」  ―――おう!  アイザック達が馬に強化魔法をかけ全力疾走していると、前方から走ってくる者がいた。 「ん? あれは冒険者か!? おい、君! 無事か!?」 「はぁはぁ…よ、よかった…早く、はぁはぁ…た、早く助けて下さい! 私のパーティメンバーが一人で…っはぁはぁ…一人で竜の足止めをしています!」 「なんだって!? 一人!? 一人で黒王竜(ティアマット)と戦っているのか!? それはまずい! 皆急ぎましょう! 君はギルドまで早く戻るんだ! ここも危険が及ぶかもしれない!」  そう言って再度駆け出すアイザック達。残されたユーリは動かない脚を強引に動かし、ジンの指示通り帝都へ駆ける。
/1008ページ

最初のコメントを投稿しよう!

855人が本棚に入れています
本棚に追加