第47話 ドラゴンキラー

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「であぁぁぁぁ!」  バギャバギャッ!  俺は同じ個所を何度も攻撃し、その堅い鱗を破ろうとするが一向に破壊できる兆しが見えない。  堅いだけなら何度も攻撃を加えれば損傷ぐらいは与えられるはず。にも関わらず傷一つつかない。という事は衝撃が吸収されているのか? 鱗の隙間から刃を逆さに突き立てれば、剥がす事は出来るかもしれないが、それは相手が止まっている場合のみだ。  竜の攻撃を避けながら、必死に打開策を探る。だがその思考の加速は隙となり、竜の鱗尾が容赦なく襲い掛かった。 「しまっ!―――がはっ!」  ダァン!  木に叩きつけられ呼吸が出来なくなる。好機と見た竜は口を開け炎を吐き出した。咄嗟に土魔法で壁を作り、これを防ごうとしたが炎は難なく土壁を突き破り容赦なく襲い掛かった。 (くそっ!!)  轟音と共にジンは炎閃に包まれる。通常ならこれで決着。  だが、ジンの身体は緑の光に包まれ、炎で焼き尽くされる事も無く無事だった。今の一撃で静かにその効果を失ったが、戦いの前に自身にかけた大地属性魔法である獅子の心(ライオンハート)には、熱燃焼耐性も付いていたのだ。  耐性魔法(レジスト)効果が消えた瞬間、周囲から発せられる猛烈な熱がジンの身体を襲う。これほどの熱風の中で戦っていたのかと、今更ながら気付かされた訳だが驚いている場合ではない。  すかさず、再度獅子の心(ライオンハート)をかけなおした。 (連続で炎を放たれていたら死んでいたが、我ながら何という性能の魔法。流石に炎に包まれる経験は無かったからな。この効果は知らなかった。教えてくれて感謝するぞ!) 「いくぞ! 黒き竜!!」  鱗尾の一撃と炎の物理ダメージもある中、ジンは竜に突撃する。自身の炎をまともに食らいながら、動き襲い掛かってくる小さな生き物に竜は驚き、咆哮する。 『ギャオォォォォン!』 「―――暴風の刺突(エン・リル)!」  風を纏った舶刀は、暴風渦巻く巨大な針となり、黒竜の片目から脳髄を貫いた。  ドパァァァン! 『ガギャァァァァァ!』  深々と突き刺さった舶刀を手放し、確かな手応えを感じて竜から距離を取った。  強者が倒れる。静かに最後を見守るのが礼儀だ。 「オ゛オ゛オ゛ォォォォン………」 「さらばだ」  ズゥゥゥン  断末魔と共に倒れた黒竜から舶刀を抜き取る。  周囲が灰と化し、黒く焼け焦げた大地に横たわる黒竜に寄り添い、静かに目を閉じた。
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