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第48話 功績
翌朝、俺はベッドの上で目を覚ました。ここは何処かなんて眠たい事は言わない。竜を倒した後ここに運ばれたのだろう。恐らく、騎士団関連か冒険者ギルド関連の施設。内装の感じからギルドの方だと推察する。
「痛っ!」
腹に鈍痛が走る。見た感じは治癒魔法のお陰か傷や打痕は無いが、母上曰く、深い傷は治癒後に初めて動かす時に、再生した組織が初稼働に驚いて痛みが発するらしい。この痛みは左腕以来だなと、懐かしく感じる。腹をさすっていると誰かが部屋に入ってきた。
「ジン君! 目が覚めたんだな!!」
「ユーリさん! 無事でしたか! よかった!」
「君のお陰でなんとかね! って、そんな事はいい! とにかく職員の人を呼んでくるよ!」
そう言ってユーリさんは部屋から出ていった。ユーリさんがいて、職員と言うからにはここは冒険者ギルドで間違いないようだ。暫くするとバタバタと音がしてバンと勢いよくドアが開いた。
「ジンぐ~ん!」
ガバッと抱き着いてくる女性。
「よがっだ~、よがっだよ~。わだじのぜいで死んじゃうかと思っだよ~」
「ちょ、ニーナさん落ち着いて下さい。おかげさまで生きておりますし、ニーナさんのせいと言うのも意味が解りませんよ」
「だっで…ぐすっ…だっでわだじが森のどうばつどおじぢゃっだじ~(私が森の討伐依頼を承認してしまった)…ずずっ、ごめんなざ~い」
「な、泣かないで下さいニーナさん。ニーナさんは何も悪くありません。私が逃げずに勝手にやっただけの事ですから!」
「でもジンぐん…ひぐっ…ギルドに運びごまれたどき、おながぐちゃぐちゃだっだんだよぉ、うわ゛ぁぁぁん!」
腹がぐちゃぐちゃ? そんなひどい事になっていたのか…全く気付かなかった。これも大地魔法のお陰か?
しかし、だ。致命傷にも関わらず戦闘が継続できてしまうのは、かなり危険な事なのではないだろうか。そこは今後気を付けねばならないかもしれない。
俺が左腕を千切った時もアリアは大泣きしたらしいし、ひどい怪我は人をこんなにも不安にさせるものなのだ。反省しなければならない。
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