第48話 功績

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「えーっと…陛下より感状を賜るとは光栄です!」 「ふっ、いろいろ付いて来られないのはよく分るよ。とりあえず、君は一生遊んで暮らせるお金を得て、騎士団と魔法師団の2つの隊長の座を得て、帝都のどこへ行っても『王竜殺し(ドラゴンキラー)のジン』と呼ばれるようになった、という事です」 「あああっ! 止めて下さい! 過度な富は破滅をもたらすと両親が言っていましたし、なぜ騎士団や魔法師団の隊長に任命されたのかもよくわかりません。それに私は冒険者なので騎士団には参りません! それにそのような物騒な二つ名は不要です!」 「はっはっは! そう言うと思って、お金の事はともかく君の名前は世間にまだ公表していないよ。まだ『誰かが竜を一人で倒した』という事にしかなっていない。知っているのは一部の冒険者と職員、それに国のお偉方だけだよ」 「それはよかった…お願いですから公表はしないで下さいね? それに―――」 「ああ。騎士団と魔法師団もジン君のお陰で誰も死なずに済んだ。君はアジェンテでもあるから、両団との繋がりも強いだろう? だから、両方の団から誰も反対意見が無かったらしいよ。『ジンなら問題無い』ってさ。どれだけ信用されているんだい君は…。まぁ両団内で隊長扱いになるだけで、入団する必要も無ければ、命令を受けたりするわけじゃない。君は冒険者のままだよ」 「そ、それは光栄なお話ですが…いつかご恩に報いなければなりませんね。あ、それと報奨金の白金貨200枚? でしたっけ。そちらも全てギルド経由で何かに役立てて下さい。そのような大金は私の手に余ります」 「えええっ!? そ、それはもちろん責任をもってやらせてもらうが…本当にいいのかい?」 「構いません。ギルドは世界中にあるのですよね? ならば、世界中で不遇な状況にある人達へ役立ててもらえたら嬉しいです」 「わ、わかったよ…でも条件がある。君のご両親にアルバニア冒険者ギルドマスターとして感状を送りたい。それぐらいはいいだろう?」 「はい、構いません。恥じる事ではありません」 「ならば結構だ。お金の使い道は安心してくれ。ああ、それと。君が倒した黒王竜(ティアマット)だけど、冒険者である君が倒したからギルド預かりになっている。解体して売ってしまうかい?」 「そうですね…狩った獲物は糧とするようにと、両親から教わってきました。食用として少しの肉と、鱗を3枚、それに牙を1本頂けますか? 後はギルドで引き取って下さい。」 「了解だ。黒王竜ともなると相当な値が付くはずだ。糧とするんだろう? 代金は全て君のバンクに突っ込むからそのつもりでいてくれよ。もうこれ以上の寄付は認めない。因みにもう欲しがっている貴族や商会から、沢山問い合わせが来ているからね」
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