第50話 温泉と清酒

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 キンキンキンッ ガキン! 「くそっ! 剣が通らない! それに色からして尻尾はおそらく毒だ!」 「どうすんのよ! 弓も通らないじゃない!」 「私の魔法も通じないと思う!」  パーティーリーダーで剣術士(ソードマン)のレオは最近Eランクに昇格した冒険者だ。メンバーで同ランクの弓術士(アルクス)ミコトと魔法術士(ソーサラー)のオルガナを加えた3人は、大陸西部シス村出身の期待の新人冒険者パーティーだ。 「ちょっと深く入っただけで、いきなりこんなヤツに会うなんて付いてねぇ!――ぐぁっ!」 「「レオ(君)っ!!」」  レオは尻尾の毒攻を警戒するあまり、前足での攻撃を食らった。 「だめだ! 撤退するぞ! ミコト先導頼む! オルガナは俺がフォローするから全力で走れ!」 「了解よ!」 「ええ!」  逃げ切れるか!? 俺が2人をこんな深い所に誘ったばかりに! それに俺一人カッコつけて囮になった所で、この深部で2人が助かる保証は無い! 何が何でも逃げ切らないと! 『キシキシキシキシ!』 「ぐっ! こいつ巨体のくせに木ぃ避けんの上手過ぎだろっ!」 「レオ! あっちにモヤが見える! 目くらましに使えるかもしれない!」 「わかった! そっちに向かおう!」
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