第50話 温泉と清酒

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 恐る恐る俺の方を見る3人。うち2人が悲鳴を上げた。 「わあぁぁぁ!変態!」 「きゃあぁぁぁぁぁ!」  な、なんだ!? まだ魔物が!? いや、探知魔法(サーチ)には何も… 「あ」  俺は慌てて左腕に巻いたストールを腰に巻き、風呂に飛び込む。  すまないアリア! ストールの使い方を誤った!!  沈黙が続き、俺は居たたまれなくなって清酒に手を伸ばした。うむ、どんな状況でもうまい。お三方、変態は放っておいてどうぞ行って下さい。 「あ、あの…」  何事も無かったかのように振る舞う俺に、レオと呼ばれていた男が俺に話しかけてきた。  止めて下さいよ…会わせる顔が無いのですよ…    恥ずかしさからそっぽを向いたまま、辛うじて返事をした。 「…はぃ」 「さっきの力は貴方が?」 「あー…少し驚かせました」  ―――ありがとうございましたっ! 「へっ!?」 「助かりました。こうして3人無事なのも貴方のお陰です!」 「変態とか言ってごめんなさい!」 「悲鳴を上げてごめんなさい! 私何も見ていませんから!」  いやいや、見たから悲鳴を上げたのでは?  3人はそっぽ向く俺に頭を下げているようだ。俺は観念して3人の方に向き直り答える。 「い、いいえ。こちらこそすみません。湯治を邪魔されて腹が立ってしまい、礼儀も忘れた挙句にあなた方も巻き込んでしまいました」 「とんでもない! すごい圧力でした。俺感動しました!」 「そうです! あんな魔獣を一瞬で怯ませるなんて!」 「び、びっくりしました! あれも魔法なんでしょうか!?」  い、いかん。話が続きそうだ。こっちは素っ裸なのに! 「ちょ、ちょっと落ち着きませんか? とりあえず出ますので」  こうして帝都を出てから初めて人と会話を交わす俺。  こんな状況でなければ多少は喜べたのかもしれない。
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