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恐る恐る俺の方を見る3人。うち2人が悲鳴を上げた。
「わあぁぁぁ!変態!」
「きゃあぁぁぁぁぁ!」
な、なんだ!? まだ魔物が!? いや、探知魔法には何も…
「あ」
俺は慌てて左腕に巻いたストールを腰に巻き、風呂に飛び込む。
すまないアリア! ストールの使い方を誤った!!
沈黙が続き、俺は居たたまれなくなって清酒に手を伸ばした。うむ、どんな状況でもうまい。お三方、変態は放っておいてどうぞ行って下さい。
「あ、あの…」
何事も無かったかのように振る舞う俺に、レオと呼ばれていた男が俺に話しかけてきた。
止めて下さいよ…会わせる顔が無いのですよ…
恥ずかしさからそっぽを向いたまま、辛うじて返事をした。
「…はぃ」
「さっきの力は貴方が?」
「あー…少し驚かせました」
―――ありがとうございましたっ!
「へっ!?」
「助かりました。こうして3人無事なのも貴方のお陰です!」
「変態とか言ってごめんなさい!」
「悲鳴を上げてごめんなさい! 私何も見ていませんから!」
いやいや、見たから悲鳴を上げたのでは?
3人はそっぽ向く俺に頭を下げているようだ。俺は観念して3人の方に向き直り答える。
「い、いいえ。こちらこそすみません。湯治を邪魔されて腹が立ってしまい、礼儀も忘れた挙句にあなた方も巻き込んでしまいました」
「とんでもない! すごい圧力でした。俺感動しました!」
「そうです! あんな魔獣を一瞬で怯ませるなんて!」
「び、びっくりしました! あれも魔法なんでしょうか!?」
い、いかん。話が続きそうだ。こっちは素っ裸なのに!
「ちょ、ちょっと落ち着きませんか? とりあえず出ますので」
こうして帝都を出てから初めて人と会話を交わす俺。
こんな状況でなければ多少は喜べたのかもしれない。
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