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今回英会話を始めたいと思ったきっかけや目標を話すとオリバーは大きく頷いた。
「Okay. じゃあ、頑張ってやっていきましょう。エリさんの目標を達成できるようにしっかり応援します。まずは最初の三十分はテキストをやってみましょう。会話文の英語表現にしっかり慣れてください。 A or B どちらが正しいか、僕は時々嘘をつきます。きちんと理解して言い当ててくださいね――」
説明部分は日本語で話してくれたあとレッスンが始まり、あっという間に一時間が過ぎた。終わってパソコンを閉じると、夜の九時を回っていた。
――僕は時々嘘をつきます。
笑梨の記憶は十五年前のあの頃へ引き戻されていた。
オリバーはいつも笑梨の絵を見て「夏みたい」と言った。人を笑顔にさせる力があるのに、どこか儚くてすぐに消えてしまいそうなそんな感じ。
「消えないよ。だから、オリバーも消えないで」
笑梨が言うと、
「僕が?消えないよ。エリの前から消えない」
オリバーは優しく微笑んだ。
オリバーといたあの季節はあの頃の笑梨にとってかけがえのない時間だった。
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