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「レモン色のワンピース素敵だね。よくエリに似合ってる」
その声はオリバーだった。
画面越しに見ていた、オリバー。あの頃のオリバー。
「どうして? 別の場所へ行くって……もう会えないって」
「『ここでは』ね。レッスンではってこと。東京で別の仕事を見つけたんだ。Finally, やっと会えたね。エリ、久しぶり」
そう言ってオリバーは笑った。
笑梨にとってのひと夏の思い出――それは人生二度目の遠距離恋愛だった。
でも今はもう、二人の間に距離はない。
あの頃の二人と同じくらいの年の男の子や女の子が、ちょっと照れながらも隣合い、歩いていくのが見える。夏の終わり、次の季節へと――。
笑梨とオリバーは、笑顔でそれに続いた。
《了》
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