コンビニ店員と彼

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コンビニ店員と彼

「ありがとうございましたー…」 ウィーン、と音がして自動ドアが閉まると、店内にはあたし以外人がいなくなって静まり返る。 何をしているかと言うと、簡単に言えばただのバイトなんだけど。 高校生は規定で10時までしかバイト出来ないから、あたしはあと15分もすれば帰れる。 「……今日は来ないか…」 高校2年の春休み。 彼氏がいないあたしにはこんな長い休みがあっても、とくに意味はない。 強いて言うなら、ゴロゴロできていいけど。…うそ、毎日バイトでゴロゴロする暇もない。 バイトして、寝て、起きて、またバイトして……の繰り返し。 バイト先にイケメンがいるわけでもなく、給料がいいわけでもなく… どうしてこんな楽しくもないバイトをずっと続けてるかと言うと、理由はたまに来るお客さんにある。 あたしはあまり芸能人とかにキャーキャー言ったりする方じゃないし、学校でもどちらかといえば友達の話を聞いてる方。 隣の席の男子にも、お前枯れてんな。なんて言われたこともある。 …あたしだってね、カッコいいと思う人くらいいるんだから。 ただ、それをみんなに言ってないだけ。 ―ウィーン… 「いらっしゃいませー……!」 よっしゃ!来た! 思わず机の下でガッツポーズ。
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