小さなピンクの花束

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この先にいつもとは違う先生がいると考えると、やっぱりどうしても胸は高鳴った。 あの日から一度も来なかったこの場所に、もう一度来るなんて思わなかった。 だってもう、目を合わせることもできないと思っていたから。 あぁダメだ、もう泣きそう。 コンコン、とノックするけど、やっぱり中からは何も聞こえてこない。 「…失礼します…」 返事がないのはあの時と同じで、いるならきっと奥の部屋だから。 中に入ると懐かしい匂いが鼻を擽って、ジワリと涙が溢れ出た。 好きだったんだ、すごく。 この匂いも、後ろに飾ってあるあの桜の木の絵も、木の椅子も… …隣でふにゃんと笑う先生も。 全部、大事だったんだよ。 時間が経っても忘れられないくらい。 久しぶりに見たこのドアを、深く息をしてノックした。 静まり返った室内にコンコンと音が響く。
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