小さなピンクの花束

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だけど、これが誰に宛ててのメッセージなのかは分かった。 やっぱり先生はあたしが今日ここに来るって知ってたんだね。 …これ、あたしにだよね? だからこの部屋の中はあたしが来てた時と変わらず、椅子は2つある。 きっとあたしが気づくように。 この花束とメッセージは、あたしへのものなんだって、気づかせるために。 あぁ、だけど… 「…そういうこと…?」 こんなことを望んでいたんじゃないよ。 花束が欲しかったわけでも、メッセージが欲しかったわけでもない。 ただ先生は、あたしが来ることを知っていてこれを用意したんだ。 それが何を意味するのか。 …要するに、最初からここであたしに会う気はなかったってこと。 卒業おめでとう、というメッセージは、直接言わないから代わりにってこと。 それならこんなことせずに、ただ無視してほしかった。先生は優しいから、そんなこと出来なかったんだよね。
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