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「…加地くん、苦しいよ」
大丈夫だよ。
だって、あたし決めたから。
「…あたしね、もう大丈夫だよ」
この花は、先生からの最後のプレゼント。
もう会わない。
もう思い出したりしない。
「…先生にはもう会わない。」
今はまだ加地くんだけを見れなくても、この先そうなるように頑張るから。
「咲良、俺と付き合って」
ゆっくりと体を離して、あたしの目を見て言った加地くん。
不安気だった顔は、あたしだけを見つめて優しく笑った。
「大事にするから」
この人は、ちゃんと大事にしてくれる。
ずっと待っていてくれたんだ。
大丈夫。加地くんとならきっと。
「よろしくお願いします」
だから、最後のお願い。
あたしの心の中だけ。
…この花が枯れてしまうまでは、先生のことを想ってしまってもいいかな。
絶対にそれを加地くんに勘付かせたりしないから。気づかれないように、ちゃんと笑顔でいるから。
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