ねぇ、先生。

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「俺すげー幸せ。」 「んふふ、よかった」 これから先、先生とのことを加地くんと笑って話せるようになるから。 加地くんがこれからもずっと幸せだって思えるように、あたし頑張るから。 「行くか、クラス会」 「うん、そうだね」 手に持った花を見ても、もう何も言わないのは加地くんの優しさ。 メッセージカードを見つけても、それに触れないのも加地くんの優しさ。 置いていけたらきっと、加地くんはもっと喜んでくれるんだろう。 だけどきっと、加地くんが置いていけと言ってもあたしは、これを手放したり出来ないんだ。 人がいない校内を、加地くんがあたしの手を引きながら歩く。 あぁ、あたし意外と大丈夫? やっぱり会わないのが正解だったのかな。 先生はもしかしたら、いつまでもあたしが先生ばかりを見ないように、わざと来なかったのかもしれない。 前に進めってことだろう。 だったらやっぱりあたしは前に進まなきゃならない。
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