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桜花【純潔】
「お姉様、お約束よ。ずっと、ずうっと一緒にいて下さいますわね」
三年前の、可愛い約束。
あの子は長いお下げ髪で、頬にまだ幼さの残るあどけない笑顔を、私に向けた。
はらはらと舞う桜の花びら、飾る黒髪の美しさ。
「えぇ、勿論約束してよ」
桜桃の唇を、私は優しく突いたっけ。
私の可愛い、愛しの貴女。
別れし春の仰げば尊し。歌い貴女は約束を……。
忘れたのでしょうか。
風の便りに今日の日は、花の門出と伺いました。
美しかろう花嫁姿、見たい気もあり、見たくはなくて、遠いこの地に参りました。
どうかどうか、お幸せに。
私を忘れて、お幸せに。
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